熊本の農業

お互いが頼れる存在でありライバル 兄弟で挑む、「 冬春ナス」の未来
林 一博さん、辰徳さん / 熊本市飽田地区

2026.01.21

今回取材に訪れたのは熊本市飽田地区にある林さんご兄弟のハウス。
飽田地区は熊本市の西部、有明海に面した港に向かって広がる
広大な平坦地で、県内でもナスの栽培が盛んな地域です。

 

10か月間収穫できる冬春ナス

 冬春ナスの定植は8月。1か月後の9月から翌年6月までの約10か月間の収穫が可能です。冬場は収量が落ち着きますが、春からまた収穫のピークを迎えます。

 ナスは基本的に4本(もしくは3本)仕立てと呼ばれる栽培手法が多く、最初の枝(本木)からの強い側枝を選抜する際、どの枝を伸ばしていくかという目利きが重要です。ナス自体の太り方も気温で全く異なり、温度が上がると一晩でぐんと大きくなることもあります。冬に実が多くつくと、春先に収量が伸びなかったりするため、10か月間、どの時期にたくさん実ができるようにコントロールできるかがとても大切です。

 さらに天候面では、夏季の35度を超える高温が常態化し、遮光のための設備も欠かせません。梅雨の大雨など課題は多く、めまぐるしい環境の変化に対応したナス栽培が求められています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかに自分の土地に合った土の管理ができるか

 「10アールあたり年間収量は、平均16トン程度。多い生産者では30トン超える方もいらっしゃいます。個々の圃場・時期で最適なナスの仕上がりも異なるため、小さめのナスをどんどん収穫し、高回転で樹の負担を軽減する考え方もありますし、収量UPのためにどんどん設備投資を行う人もいます。自分のハウスの土壌・気候に合わせた最適なバランスの見極めが鍵ですね。」

一博さんのハウスでは、砂地に合わせた土づくりを行っています。

 

圃場によって異なる、土づくりの最適解

 JA熊本市茄子部会には、現在約1 7 0戸の生産者が在籍。ナスづくりのノウハウの基本的な作業は共通ですが、育て方は各生産者のプラスアルファの面を重視しています。

 圃場ごとの砂地や粘土の質による土壌の違いがあるため、完全な模倣は逆に非効率になることがあるためです。地域の土壌の歴史背景として、埋立地や河川由来の地質の違いが、水分保持性や肥料の保持性に大きな影響を与えています。

 

 

 

 

 

 

ナスの美味しい食べ方を教えてください

 一博さんのおすすめは「ナスの丸焼きバター」。「農家ならではですが、収穫直後のナスを丸ごと炭火でじっくり焼き、しんなりしたら中央に切れ目を入れてバターを挟み、塩少々。これが最高ですよ。皮ごと香ばしく食べられ、ビールにもよく合います。」

 

 

 

 

 

 

1日の作業スケジュール

 朝は6時過ぎごろから収穫を始め、午前中のうちに共同の選果場への出荷を行います。ナスは特に鮮度が重要で、その日のうちに選果場からトラックで主に関東、関西へ向け出荷されます。

 「PC筑陽」への品種転換後は、交配作業の必要がないため、午後の作業時間を芽摘みやメンテナンスに充てることができるため、大幅に作業効率がアップしたそうです。

 

《 JA熊本市 冬春ナス 》

熊本市の冬春ナスは昭和46年に国指定産地となり、全国では第2位、県内第1位の生産量を誇っています。