熊本の農畜産物

デコポン販売開始 熊本の各産地

2023.12.01

 県のJAが出荷するブランド中晩かん「デコポン」の2023年産の販売が1日から始まる。猛暑の影響も心配されたが、生産者の徹底した管理により、果実肥大は良好で、糖度・酸度のバランスが良く、高品質に仕上がった。農業を取り巻く環境は厳しさを増すが、産地が一丸となって高品質・安定出荷に取り組む。

JAたまな

 JAたまな管内で11月28日、加温デコポンの選果が始まった。加温、屋根掛け、露地と4月まで続き、出荷数量1000トンを計画する。
 糖度と酸度のバランスがとれ、良い食味に仕上がっている。中央みかん選果場では、従業員が1玉ずつ品質を確認。光センサーを備えた選果機で糖度と酸度を測り、箱詰めする。
 JA指導販売担当者は「デコポンは贈答用にも人気が高い。たくさんの人に食べてほしい」と話した。

JA鹿本

 JA鹿本で11月29日、ハウスデコポンの選果が始まった。果実肥大、品質ともに良好。総出荷量270トンを見込む。
 葉付デコポンや後期デコポンといったこだわり商品の出荷にも力を入れる。2024年5月上旬まで、主に関東地方へ出荷する予定。
 初選果当日、JA南部選果場では、外傷などがないか作業員が一玉ずつ確認、光センサーによる糖度、酸度測定して次々と箱詰めした。
 担当者は「天候に恵まれ、生産者の徹底した栽培管理で外観、内容ともに上々。多くの人に食べてほしい」と話した。

JA熊本うき
デコポンを収穫する髙濱部会長

 不知火(デコポン)発祥の地で、全国有数の生産量を誇るJA熊本うき管内で、23年産デコポンの出荷が始まった。初売りは12月1日から。総出荷量は3800トン、販売高約15億1500万円を計画する。加温施設栽培に始まり、無加温、屋根掛け、露地、鮮度保持資材を使った長期貯蔵デコポンと24年5月まで続く。
 高温乾燥により難しい栽培環境が続いたが、生産者の努力で高い糖度に仕上がった。加温施設栽培では、マルチ被覆や徹底した灌水管理により糖度向上を図り、木ごとに糖度を測定して収穫時期を見極めながら品質を高めている。
 JA柑橘部会の髙濱義孝部会長は「今年は生産者が驚くほど高い糖度に仕上がっている。おいしいデコポンを味わってほしい」と笑顔で話す。

 

JAやつしろ
デコポンを一つ一つ選別する様子

 JAやつしろ吉野果実選果場で11月28日、デコポンの出荷が始まった。加温、屋根掛け、露地と出荷が4月まで続き、全体で約240トンの出荷を計画する。同選果場では、1玉ずつ糖度、酸度を光センサーで測定し選果する。
 氷川柑橘部会の黒田浩一郎副部会長は「夏の高温対策に加え、秋の水管理など苦労もあるが、やはり収穫は嬉しい。果実の品質を見極めて適期収穫に努めたい」と話した。

 野菜・果樹・特産課の椎哲也さんは「生産者が高品質な果実生産に努力したことで、順調な出荷を迎えられた。より多くの消費者に味わってほしい」と話した。

JAあしきた

 JAあしきたは11月27日、マルタ選果場で23年産デコポンの選果を始めた。森山和博場長は「生育が早く、糖や酸の度合いは例年以上。果実外観も良好で12月1日の初売りから良いスタートが切れそう」と期待を込める。
 JAは総出荷数量3000トン、販売金額14億円を計画。出荷は無加温屋根掛け、露地栽培を含め来年5月まで続く。年末は贈答用としての需要が高まる見込みだ。
 光センサーで糖度と酸度を測って選別し、基準に合格したものだけを「デコポン」のブランド名で販売する。デコポンは全国の青果市場へ出荷する他、JAの直売所「道の駅芦北でこぽん」やネット通販でも取り扱う。

JA本渡五和

 JA本渡五和は11月28日、加温デコポンの選果を始めた。加温、屋根掛け、露地など、来年5月までに計850トン、販売高4億円の出荷を計画する。
 夏場の高温による裂果や着色の遅れなどがあったが、11月中旬に入り気温が下がったことで、外観も良く高品質に仕上がっている。初日は約10トンを選果した。光センサーを活用し関東、東海地区へ出荷した。
 選果場の夏井直哉場長は「重油や流通コストの高騰で生産者の負担が増えているが、生産者の努力で内容、外観ともに良い仕上がりだ。自信を持って消費地に届けたい」と話す。

JAあまくさ
美しく実ったデコポンを収穫する下田さん

 JAあまくさ管内では11月下旬、ハウス加温デコポンの収穫が本格化した。屋根掛け、露地、後期貯蔵と続く。5月連休まで長期出荷する計画だ。
 管内の生産農家は325件。販売数量1600トン、販売高8億円を計画する。
 JA果樹部会の下田恭平さん(33)も収穫を始め、コンテナに輝くようなデコポンが納められていた。下田さんは「気温が高い日が続き着色が心配したが、ようやく色づき、仕上がりは良好」と自信を見せた。