
JA熊本県女性組織協議会とJAグループ熊本などは18日、廃食用油をバイオディーゼル燃料(BDF)として再生利用するプロジェクトを始めた。JAグループが県域で取り組むのは、全国でも珍しい。JA店舗などで廃食用油を回収し、地元企業が燃料に再生。将来的には農業分野での活用も目指す。女性部が住民に呼びかけ、地域に根差した活動として展開。環境負荷を低減して、持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する。
同協議会では、これまでもSDGs貢献する取り組みを実施しているが、県内全体で一体的に行うのは初。女性組織の活性化を図るとともに、JAを拠点とした接点づくりや女性部活動の理解促進につなげる。
「廃食用油回収リサイクルプロジェクト」として取り組む。女性部員や地域住民が、最寄りのJA支所・支店や事業所などの回収拠点へ使用済みの天ぷら油など廃食用油をふたの閉まる容器に入れて持ち込む。一定量が集まったらJA担当者が、廃食用油からBDFを製造するバイオエネルギー九州(熊本市)に回収を依頼。同社が燃料に再生し、地産地消のエネルギーとして地域に還元する。
実施期間は2027年度までの3年間で、年間最大で約1トンを回収し、全てBDFなどへの再利用を見込む。将来的には、農産物などを出荷する際に利用するフォークリフトの燃料など農業分野での活用を進める。
同日、熊本市でキックオフ大会を開いた。JA熊本中央会の宮本隆幸会長や同協議会の喜多川容紫子会長、バイオエネルギー九州の石井達志社長ら約30人が出席。初めて廃食用油の回収を行った。
同協議会の喜多川会長は「この取り組みは『地域資源を活かして地域を守る』大切な一歩だ。地域の未来と次世代のために、責任を持って推進し、持続可能な地域づくりを実現していく」とあいさつした。