熊本の農業

甘さと香り引き立つ 進化するセルリー
杉本 耕治さん / JA鹿本管内 植木町

2024.03.15

甘くておいしいセルリーを求めて
JA鹿本管内の植木町にある杉本さんの圃場を訪ねました。
品種改良によって現在のセルリーはとても甘く、
特に採れたてのセルリーは香りがよく、香草のようにサラダにもよく合います。
杉本さんに詳しいお話を伺いました。

手掛ける品種名は「新コーネル」

 「新コーネル」は株揃いがよく、後作のスイカとの相性がいい品種として数年前に導入されました。セルリー部会では30代から70代まで13名の生産者によって、肥料や堆肥も統一して安定した生産に取り組んでいます。セルリーは8月上旬から定植がはじまり、夏場は露地、寒くなるとハウスで栽培します。11月から3月上旬まで収穫できるよう、生産者ごとに播種や定植時期をずらしています。選果場へ出荷されたのち、主に広島方面に運ばれますが、直売所、JAかもとファーマーズマーケット夢大地館の売り場にも新鮮なセルリーが並びます。

 

 

 

 

 

 

 

鮮魚の仕事から再就農へ

 高校卒業と同時に就農し、スイカをメインに栽培していました。就農して6年ほど経った頃、昔から好きだった鮮魚関係の仕事に就いて、買い付けや店舗の仕入れを12年ほど担当しました。その後、40歳で再就農し父の元でセルリー栽培を学び、現在に至ります。

 

 

セルリーの1年について

 セルリーは定植して1ヶ月目で1回目の「葉かぎ」と呼ばれる、余分な葉を取り除く作業を行い、さらに1ヶ月後に2回目の「葉かぎ」を行います。この時に脇芽も摘んでいきます。そのあとは水やりと肥料、温度管理も細かく調整して大きく育てていく時期に入ります。

 杉本さん曰く「水分の塊のような野菜」なので地下水から引いたたっぷりの水を与え、種まきからは約半年、定植からは110日ほどで収穫を迎えていきます。3月に収穫を終えると、圃場はスイカの畑として整備され、また夏を経てセルリー畑に戻るのです。

 

 

 

 

 

 

 

とにかく食べてもらうこと、それに尽きます。

 セルリー部会は活発に活動しており、2名のベテラン生産者がアドバイザーとして全ての圃場を回るなど細かな情報共有と課題の解決を常に考慮した動きをされています。生産者自ら県外で試食販売会を行うなど、おいしさを広めるためのPR活動にも力を入れています。

今回取材をアレンジいただいたJA鹿本広報の田中さん、営農指導の佛田さんと。

スイカ農家からみるセルリーの難しさ。

 JA鹿本管内はスイカなど瓜類の豊富な産地と知られます。一般的には他の産地から見ればスイカも非常に育てるのが難しい作物の一つなのですが、セルリーは他の作物よりも水の量や肥料の量にも反応が見えづらく、生育の読み方には熟練の技術が要されます。

 一番気を使うのはやはり収穫のとき。太いセルリーの茎を専用の包丁で一瞬で「押し切り」して、立派に育った葉や茎を傷めることなく素早く収穫していきます。

 

 

 

 

 

 

 

セルリーのおいしい食べ方

 セルリーは茎も葉も全て食べられるので、捨てるところがないのが特徴です。生で食べるのが1番おいしいですが、サラダ、ピクルスはもちろんスープ、天ぷら、佃煮もおすすめです。浅漬けは、数日間シャキシャキ感が続くので常備菜にもおすすめです。

 

ご家庭での保存方法

 買った当日に食べていただくのがもちろんおすすめですが、風を当てないことが1番ですね。冷蔵庫の中でも冷風が当たらないようにすることが大切ですね。

 

《JA鹿本のセルリー》

陽を浴びて鮮やかな緑が印象的なセルリー。
1株はまるで大きな花束のようなボリューム。
収穫にあたり「1株あたり2Kg」が大きめで良いサイズ感だそう。