熊本の農業

あさぎり町の自然が生み出す 旬の冬春トマト
中村 幸二さん / 球磨郡あさぎり町

2024.02.02

 

おいしい冬春トマトを求めて
JAくま管内、球磨郡あさぎり町にある中村さんの圃場を訪ねました。
その名の通りあさぎり町は早朝から幻想的な霧があたりを
包み込んでいましたよ。

冬春トマトのシーズン

 JAくまの生産部会では9軒の生産者がそれぞれ異なる品種を展開しています。中村さんが今年手掛けるトマトは「プリマドンナ」という品種で玉揃いも良く、元々は早生の品種で9月定植が主とされてきました。成長と樹勢の展開が割と早いため、10月初旬からの本出荷を見越して定植を早める試みを行なっています。台風の時期は、ハウスを8月から張るのにはリスクもあるのですが、台風情報を入念にチェックしながら、現在は8月に定植をして、収穫は9月下旬からはじめます。

 トマトの圃場の面積は36アールほどで、収穫時期を分けられるように、2つのハウスで定植をずらしています。ひとつは8月10日植えで7段ぐらいで、9月から1月まで収穫でき、もう一つのハウスでは8月24日植えで25段くらいで10月から6月まで収穫できるイメージです。
※1アール=1辺が10mの正方形の面積

 

 

 

 

 

 

綺麗に整備された4連棟のハウスにトマトが約3,500本。1列植えで株間はゆったりめ。
トマトのつるは長く長く伸びるため、ここでは上下に円を描くように仕立てていきます。

 

九州管内と関東が主な出荷先

 9月からは九州管内、12月からは関東方面、また5月以降が九州管内へ出荷されます。冬の鍋や煮込み料理など家庭でも欠かせないトマトですが、寒い時期も熊本産のトマトのニーズは高く、契約での出荷も多いそう。収穫するタイミングは出荷先から逆算するため、「秋は赤みが多くて青みが差すくらいで収穫しますが、1〜2月になると逆で全体が青く赤みが少ない状態で収穫します。時期ごとの細かな色の判断はJAさんとすり合わせていきます」。トマトは追熟するため消費者の手に渡る頃にちょうどよい食べ頃を迎えるように計算されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

中村さん曰く、圃場に必要な水は、山の中腹にある清願寺ダムからハウスに引いてあるそうで、
山水が集積するダム湖からの水環境がこの地域の農業を支えているんだそうです。

 

作りたい品種と作りやすい品種

 30年トマトをつくり作り続け、品種もいくつも挑戦してきました。今「プリマドンナ」を選んでいる理由のひとつに病害虫に強い抵抗性品種ということが挙げられます。作りたい品種でも、やはり病害虫の影響は深刻で、トマトの株1000本単位でロスが出たりすることもあるといいます。「一度病気が出るとハウスのトマトが全滅する危険性があるものや、以前の品種では正直毎朝ハウスに入るのが怖い時もあったりしました。」夏場の病気に弱く、成長が止まり花が咲かなったりするためだそう。

 対策の技術も進化はしていますが、安定して収穫できるものと、追い求めたい味と、そのバランスを生産者の皆さんが日々試行錯誤されている上にトマトの生産が成り立っているのです。

 

気候条件に適応させる土へのこだわり

 寒暖差も激しく、ハウスごとに土質が変わるため、30年かけて土の改良を重ねてきました。畝をつくる時から球磨川流域の藁をすき込んだり、通水性もよく固まりすぎないように、手をかけています。握って少し固まるくらいがちょうどよいですね。シーズンが終わると、茎も全て有機物としてすき込んでマルチをかけて1ヶ月ほど土壌消毒をします。土づくりも大切ですが、やはりものづくり。1作1作季節も違えば、内容も毎回違うので、いくつも挑戦して自分に合った品種を見つけるのも大切だと感じますし、それが面白みでもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

JAくまの冬春トマト

地元で9軒の生産者が手掛ける冬春トマト。
それぞれのこだわりを持った生産者がおいしいトマトづくりを支えています。

 

トマトの保存方法

 温度が高くなりすぎないように常温保存で、冷やして食べたい時はなるべく食べる直前に冷蔵庫にいれてください。

 

 

 

 

 

農作業のもうひとつの立役者

 秋からは黒マルハナ蜂が交配のために飛び回り、人の手に代わって交配作業を進めてくれます。巣箱を一箱(一家族)ハウス内に設置すると40~50日くらい働いてくれるそう。広いハウスのトマトの花から花へせっせと働くマルハナ蜂の優しい羽音が印象的です。