熊本の農業

産地の団結により生まれた「恋のぞみ」
イチゴ選びのNewスタンダード 松岡 剛さん / 松橋町

2023.03.13

イチゴの旬は冬と春。
厳しい冬のあとには、おいしいイチゴの季節がやってきます。
売り場に行けば溢れる品種。
イチゴの戦国時代とも呼べる品種合戦の中
カフェやスイーツ店でも見かけることの増えた「恋のぞみ」
今回は松橋町にある松岡さんのハウスを訪ねました。

 

イチゴの生産者がひとつの産地としてまとまるために

 それまで生産者によってバラバラだったものをひとつの品種に絞ろうという話が出たのがきっかけでした。JA熊本うき管内は、中山間地から平坦地まで圃場の気候や土壌環境も大きく異なるため70軒ほどあったイチゴ農家さんの多くが導入しやすい品種として恋みのりを候補に選びました。産地が団結すれば収量も確保できるため、大口のニーズにも対応が可能になります。生産者の労務軽減や品質管理のためにパッケージセンターができ、JA熊本うきのオリジナルブランドとして2017年に初出荷を迎えることとなりました。パッケージやロゴを統一し、大手スーパー等とも契約、今では「恋のぞみ」の名前もだいぶ浸透してきました。

一粒でも香り高く、酸味が少ない、驚くほどの甘さです。葉が反っているものが食べ頃だそうですよ。ちなみにイチゴの色は陽の当たる日中だけでなく、夜も赤くなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地域全体で産地として盛り上がるために

 イチゴ部会では定期的に生産者のハウスを回る研修を続けてきました。例えばそのエリア10人なら10人全員のハウスを皆で回って現地検討会を行います。その場で質問も飛び交うので、情報も共有します。地域全体での相乗効果も大きく、やがてはそれが収量の数字となって現れていくのです。「ここ松橋地区の収量は特に多いし、全国的に見ても上位にある熊本県のイチゴの各品種が切磋琢磨しあって良い影響になればと考えています。」

 

 

 

 

 

 

 

イチゴの収量を増やす一番大切なポイント、花芽分化(はなめぶんか)について

 イチゴの株元にはクラウンと呼ばれる、根ができて、芽ができて、葉っぱができる箇所があります。成長ポイントみたいなものです。そこから実の元になる花の芽が出だすことを「花芽分化」といい、その芽がでないと葉っぱだけしか出てきません。つまり、収量を確
保するためには、実の元となる花芽をいかに多く出せるかが重要です。そこで子孫を残そうとする時期に適切な栄養分を与えることで
そこをコントロールするわけです。私たちは『花芽を入れる』と表現するんですが、その作業次第で花芽の数が分かるので収穫の見通しも立つんです。

 

 

 

 

 

 

 

三角錐の形が美しい「恋のぞみ」。贈り物にも人気です

 松岡さんによると「寒暖差が甘味に直結するため、3月からのイチゴは特においしい」そう。特に宇城彩館にはイチゴのパッケージセンターから出荷後すぐの新鮮な「恋のぞみ」が並びます。大切な人の贈り物にもぜひどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

とれたての松岡さんのイチゴを使って、子ども用のサンドをつくってみました。
地元では1日4粒イチゴを食べるといいと言われるくらい、小さい子どもにも人気です。