熊本の農業

全ては「甘くておいしい」のために 午前0時の収穫、月夜のスイートコーン
平野 昭弘さん / 五和町 御領地区

2021.06.30

 

真夜中に収穫するという旬のおいしいスイートコーンを求めて

天草の五和町御領地区にある、原田さんの農園を訪ねました。

 

とれたての瞬間が一番おいしいスイートコーン

 ちょうど梅雨の合間、時折聞こえる夏の虫の音以外は静けさに包まれているとうもろこし畑。原田農園ではGW明けから8月の半ばまで、ヘッドライトひとつで夜間の収穫を行います。朝の出荷を考えるとこの時間の収穫が甘みもベストだそう。早生の品種であるゴールドラッシュネオからはじまり、ゴールドラッシュ88、90などの品種を手掛けています。この品種の数字は収穫までの日数を表しています。
 圃場が約20か所あって、時期をずらして収穫できるようにしているので、一番早いもので3月に種をまき、5月半ばから収穫可能だといいます。「元々はレタスが盛んな地域なので、その裏作として収穫後の圃場を活かして栽培を始めたんです。冬場のレタスの収穫後に、マルチもそのまま使えて効率的に夏場の収量を見込めます。収穫サイクルが早いのも魅力ですね」。

収穫は背負子のかごと一輪車を使って、1つ1つの状態を見ながら行う。雨の日は一輪車が進まないので作業はとてもハード。

直売所でのお客さんの反応が嬉しいですね。

 実が若い時は下から黄色く色づいていきます。先端まで黄色になってくると先っぽがふっくら丸みを帯びてくるんですね。触るとだいたい収穫適期がわかるのでそれが収穫のサインです。時には皮をむいて判断していきます。真夜中の収穫の時期は、完全に昼夜逆転するので本当に大変ですが、直売所は特にお客さんの反応がダイレクトに分かるし「甘かったよ」「おいしかったよ」っていう声が何より嬉しいので、こだわり続けていきたいですね。

直売所に出荷するのが朝7時、それまでが勝負なんです。

 収穫後は作業場で選別と袋詰めまでを一気に行っていきます。「もぎたての瞬間が一番甘く、時間の経過とともに甘みも旨みも落ちていくので、朝、直売所にとうもろこしが並ぶ時間から逆算して作業を行います。さきほど採れたこの実はぷりぷりしてますが、これもあと3日遅く収穫すると実は大きくても、光沢がなくなり粒が少しずつ潰れていくので、収穫適期の見極めがとても大切になってきます。」収穫期の約3か月は夜12時から収穫、早朝にかけて選別と袋詰めを行う。その数は平均すると毎晩1500本から2000本にもなります。

 

 

 

 

 

 

真夜中に収穫するこだわりが生む甘さ。

 箱いっぱいの原田さんのとうもろこしをいただきました。生でも充分甘いのですが、今回は茹でていただくことに。収穫の現場を目の当たりにし、真夜中に収穫される甘さに感動もひとしおです。