熊本の農業

阿蘇カルデラの大地にそよぐ風 あか牛の育つ南阿蘇へ
栃原 賢さん / 南阿蘇 久木野村

2021.04.28

阿蘇山と外輪山のちょうど真ん中、
開放感あふれる大自然の一等地、
南阿蘇・久木野村であか牛の繁殖農家を営む
栃原牧場を訪ねました。

あか牛を育てるのには素晴らしい環境です

 あか牛は全部で約240頭ほど育てており、大きな3つの牛舎で、体格や月齢、雄雌で分けて管理をしています。この規模を父と兄と私だけで世話をしていることに驚かれる方もいますが、そこには父の勧めで、兄も私も若いころに1年半ほどアメリカへ研修に行った経験が活かされています。大規模な牧場に住み込みで生活しながら働き、実際に肌で感じながら大規模ならではの効率やポイントを学んできました。父はモンタナ、兄はアイダホ、私はオレゴンという具合にです。頭数が多いのに慣れていたおかげで現在に繋がるヒントもありましたし、カウボーイスタイルの牧場や、四国と同じくらいの面積を持つ牧場など、牧場ごとにやり方も異なるので、とても良い経験でした。

施設で毎日出る牛の堆肥を土にする設備もあるので、その土をアスパラやトマトベビーリーフの生産者さんに提供しています。地域の循環型農業を体現しています。
栃原牧場のトラクターではこの大きさが標準サイズ。これが何台も並んでいるさまは圧巻。
同業者の見学もあるほど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大切に育てた子牛を出荷するということ

 牧場経営は大きく分けて、子牛を産ませる繁殖農家と、お肉になるまでを育てる肥育農家の2つに分けられます。うちでは繁殖農家として、あか牛だけで約240頭を超える頭数を飼育しています。オスは9か月、メスは10か月で競りに出していきます。
 繁殖といっても、牛一頭一頭の関係や性格、ストレスなど、とてもデリケートな問題がたくさんあるので、毎日のえさやりや世話で接することで、体調などを見極めて、3つある大きな牛舎を管理しています。

 

 

 

 

 

 

 

牛が食べるものもとても大切に考えています

 おいしいあか牛をつくるためには、やはりえさづくりが大切です。シーズンでいえば4〜6月が牧草、7〜10月までがお米の藁や飼料米になります。自分たちで手掛ける牧草をはじめ、提携農家さんの田んぼの二毛作で飼料米を育てたりと、その管理も大切な仕事です。
 この春からは弟も牧場に加わるので、家族経営の強みを活かしてより一層、おいしいあか牛を育てることにこだわっていきたいと考えています。

 

 

 

 

 

 

今回の出張農園キッチンは南阿蘇の牧草地で「あか牛のフィレステーキ」をいただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ソースはオリジナル、季節の野菜と合わせてあか牛の旨味を引き出していきます。