熊本の農業

40歳から目指した本気の農業
球磨川の恵みがもたらす、キュウリづくり
守屋 研一さん / 下球磨地域

2025.09.09

人吉・球磨地域は球磨川の豊かな水量に支えられ、寒暖差の大きい
気候を生かしてメロンや桃、梨、トマトなどたくさんの作物がつくられています。
今回は、下球磨地域の旬のキュウリを求めて、守屋さんのハウスを訪ねました。

 

夏秋キュウリ、西日本有数の栽培面積

 JAくま管内のキュウリ部会は、3つのエリアに分かれ約150名の生産者で構成されています。各生産者から選果場に出荷されたキュウリは、専用の機械で選果され、福岡、熊本、鹿児島など九州をメインに出荷されます。管内では、春にメロン、夏秋にキュウリを栽培する作型の生産者が多く、夏秋キュウリでは西日本有数の栽培面積を誇ります。

 守屋さんが育てる品種は「ニーナZ」。草勢もよく、形や大きさなど品質も安定していることから昨年から導入しています。4月に定植し、5月から10月まで収穫が可能です。

成長が早く、枝の伸び先も変わるため、日々の手入れには膨大な時間を要します。キュウリは受粉なしで成長するため、交配が不要です。
雌花の根元にはキュウリの赤ちゃんができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

新たな栽培手法を柔軟に取り入れて収量もアップ

 キュウリは生育が早く、朝夕の1日2回の収穫が必要なほどたくさんできます。家庭菜園でも人気のキュウリですが、守屋さんが新たに取り入れたという独自の栽培方法を教えていただきました。

 「キュウリは成長に伴って親づる、子づる、孫づるという3本に分かれていきますが、どのつるを取って、どのつるを残していくかが重要になります。そのためには「芽かき」と呼ばれる余分な芽を取り除く作業が大切で、私の場合は6節までは子づるの芽を全て取り除きます。7〜12節は選びながら「芽かき」をし、13〜16節の4本を延々と伸ばして、そこにキュウリができるようにします。」

 

 

 

 

 

 

大切なのは水やりと追加で施す肥料、必要な「芽かき」を行うこと。
同じ株数でも、手入れによって収量が倍近く変わるそう。
水のやりすぎもよくないため、土からだけでなく、葉面散布も行います。

農業に対して本気になること

 「私も40歳から就農したので苦労もありましたが、やはり本気で取り組むと、課題や目標もどんどん出てくるんですよね。余裕ができれば規模拡大もできるし、手間をかけた分おいしい野菜も採れるようになる。本気になれば、年齢関係なくチャレンジできると思いますよ」

キュウリ販売担当の山並さんと。遠くに九州山地を望む大地は見晴らしがよく、ハウスの周りは一面に水田が広がっています。
守屋さんお気に入りのドローン。管理する田んぼの枚数が多いため、趣味も兼ねて自身の土地内で活用しているそう。

 

キュウリのおいしい食べ方

 キュウリを選ぶときはなるべく光沢があって色の濃いもの、表面にトゲが残っているものがおすすめです。「やっぱり鮮度が一番ですね。採れたその日が一番おいしいので、なるべく早めに食べてもらうことが一番です。冷蔵庫に入れる際は直接冷気が当たらないように袋で密閉してもらえると、より良いと思います」

球磨川の水で育った採れたてのキュウリを、冷やしキュウリ風に。
水分が9割を占め、カリウム豊富なキュウリは、夏場の水分補給にもおすすめ。

 

《JAくま 夏秋キュウリ》

夏秋期では西日本有数の栽培面積を誇るキュウリ。シャキッとした歯こたえと、生産者の愛情をたっぷり受けたキュウリは、まさに新鮮そのものです。

収穫期は1日10~12ケースにもなります。