
熊本県高森町で、ストックの花弁を使ったドレッシングが注目を集めている。河原地区の花卉(かき)農家、白石豊和さん(43)と妻の恵美さん(43)が作る「花彩(はな)ドレッシング」は、贈答用やお土産用として好評だ。材料は、ストックの花弁だけを手摘みし、瓶詰めまで一本ずつ手作り。塩麹(こうじ)ベースでタマネギ、ニンジンをブレンドした。ほどよく甘酸っぱい仕上がりだ。
甘い香りとピンク色が特徴。色鮮やかなグラデーションが目を引く。恵美さんは「花をプレゼントするように贈った人、贈られた人どちらも幸せな気持ちになれる品として親しんでほしい」と期待を込める。生産はストックが最盛期となる冬季のみ。2019年産は約1200本を生産した。
河原地区は標高800メートル付近に位置する山間地域。冬季は氷点下となり、農閑期の雇用創出と収入源の確保が地域の課題だった。
白石さんは周辺7戸の農家と協力。14年に農産物の加工グループを結成した。冬季に生産するストックが食用花でもあることに着目し、商品化に取り組んだ。熊本地震で一時停滞したものの、町の地域おこし協力隊やJA熊本中央会などの力を借りて、17年冬に商品が完成した。
白石さん夫妻は「若い世代からも河原地区が注目を集めるきっかけになれば」と期待する。ドレッシングは高森町の飲食店「グリルド加藤」や「WaterForest」で料理にも使われている他、熊本市内の花店、ネット通販で購入も可能。価格は1本(200ミリ)1200円(税別)。