熊本の農業

真夏の新米収穫 天草、早場米の米作り
平野 昭弘さん / 天草市 河浦町

2021.08.31

 

熊本県内で一番早く収穫される「早場米」を求めて

天草の河浦町にある、広大な圃場を訪ねました。

 

田植えは4月、台風の前には収穫を

 元々、大きな山や川がない天草では農業用水の確保が課題でした。地下水もないので、まとまった水を必要とする米作りには、梅雨時期の雨が必要不可欠だったんですね。稲に水が必要な時期にちょうど梅雨が来るように、春に田植えを行うサイクルになっていった歴史があります。これまでに様々な試みが行われ、超早期米など3月後半に田植えたこともあるのですが、やはり寒いと育ちに差が出ます。今は4月に入ってからの田植えが理想的ですね。収穫はちょうどヒマワリが咲くころ、風で稲が倒れるのを防ぐため、台風のシーズン前には収穫していきます。

 

 

 

 

 

 

 

手を入れた分だけ美味しくなる実感はありますよね

 品種は、早期米のコシヒカリと、上位品種の業務用米、もち米などを手掛けています。ここだけでも35町くらいあるので、草刈り一つとっても膨大な時間がかかります。終わったころには最初刈った場所はもう生えてますしね。高齢化は課題ですし、昔とは環境も天候も違いますが、ドローンや大型機械で効率よく作業しています。やっぱり愛情注いで、手を入れただけ美味しくなる実感はありますよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

コンバイン2台に加え、ライスセンターを往復する軽トラ3台で収穫に当たる。
取材日は、とにかく青空の猛暑日、ふりそそぐ太陽で籾も藁もよく乾燥しそうな1日でした。

 

農家では、古米にはもち米を少量混ぜて食べる

 今は冷温庫の普及で、新米も古米も水分量以外は品質自体ほとんど差がないのですがお米を作る側からいうと、とれたての商品を優先して出荷していくので昔は農家ほど古米ばっかり食べる傾向だったんです。たくさん保管はしているが古い方から食べるので新しい米も保管中に古米になるというか。農家ならではのあるあるですよね。古米が気になる場合はもち米を少し混ぜて炊くのがおすすめですよ。

 

 

 

 

 

 

  収穫直後にライスセンターに運ばれたお米は50袋からランダムに米が引き抜かれ水分と品質がチェック
  されていく。一晩かけて乾燥作業まで終わると籾摺り、1.85mmのふるいに分けられ、色選にかけら
  れたら米袋に入れられ出荷を待ちます。

 

美味しいお米を炊く際のこだわり

 お米を洗う前に、最初にお米が触れる水は浄水などきれいな水を使うのがおすすめです。初めてお米が水を吸うタイミングなので、ここを意識すると炊き上がりもぐっと違ってきますよ。洗う水は普通の水道水で大丈夫です。しっかり洗う派、サッとすすぐ派、お好みは分かると思いますが、今回1〜2回さっと洗って炊き上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋を待たずにお米の良さを再認識できる早場米

 日本の食材には海苔や佃煮、ふりかけなど、白米にぴったりのものが充実。日本人は、長い長い年月をかけて鰹節や昆布や、その地域独特のベストマッチなおかずを生み出してきました。今回の早場米は天草産なので、同じ地域に合わせた逸品探しもおすすめ。天草の直売所でぜひ白ご飯に合う地元の塩や、漬物やふりかけも見つけてくださいね。

出荷や経営に至るまで地域を支える米作りは長年に渡る信頼関係があってこそ。左から、JAあまくさの西支所の倉田智博さん、一町田下の代表平野昭弘さん、JAあまくさ広報の松本淳さん。
生産者さんの自宅では籾のままの保管が一般的で、食べる前に籾摺りを行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天草産コシヒカリは、収穫してから1週間以内なので旨さもひとしお。

 ほぐして立ち上る湯気に、つやっとした程よいねばり、
ふわっと広がる甘みと、噛み応えのバランスがちょうどよいですね。
どれだけでも食べていたいおいしさです。