熊本の農業

常に先を見据えた、最良の判断を。いちご農家全体の活性化の一助になりたい。
光田 淳悟さん / 玉名市横島町

2017.03.30

 「いちごマラソン大会」で有名な玉名市横島町。干拓地であるこの地は、見渡す限り広大な平野が広がっている。そこでいちご農家を営む光田淳悟さんは就農4年目の28歳。誕生日はなんと12月24日。いちごは言うまでもなくクリスマスケーキに飾られる定番。まさに、いちごを作るべく生まれた、神の申し子と言える人物だ。家族は両親と弟の4人、それに、従業員1人を加えた5人で家業を営んでいる。手掛けるいちごは、「ゆうべに」と「さがほのか」。栽培の工程は、4月から育苗(苗づくり)をはじめ、9月下旬に定植(植え付け)、その後、老化葉取り、消毒、病害虫防除、ハウス管理など、さまざまな手入れを行いながら、11月から翌年の4月にかけて収穫する流れだという。

品種:ゆうべに熊本県が育成した品種で、今年度から本格的に栽培を開始し、全国に出荷しています。果実が大粒で断面も濃い赤色をしたイチゴで、甘みと酸味のバランスが取れた上品な食味が特長です。

 

息子を見守る父の哲広さん。高設を導入し、腰への負担も少なくなったそう。
加工品も多いけどやっぱり青果として、生のまま食べてほしいと話す光田さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

今までの学びや経験を、家業へ活かしたい

 「大学の頃に少しずつ農業の世界に興味が湧いてきた。でも家を継ぐつもりは全くなかった」という光田さん。農学部を卒業後、鹿児島の農業生産法人で露地栽培を行っていた。しかし、2年経った頃、徐々に気持ちに変化が表れ始める。「今まで大学や農業生産法人で学んだ経験をもとに、家業へ活かしていきたいと思った」。そこで、実家に戻ることを決意。しかし、簡単にいくほど家業は甘くなかった。「はじめの頃は、『大学まで出したのに』と、家業を継ぐことに否定的で、さらに親と自分のやり方が全然違うことで、かなりぶつかった」と苦笑い。自分のやり方をコツコツ続けていくうちに少しずつ結果が出てきた。そして去年はトップクラスの成果を上げることに成功。「今では認めてくれ、頼りにしてくれるようになった」と満面の笑みを浮かべる。

高設栽培の技術を確立し、規模拡大をしていくことが先決

 いちご栽培はどうしても自然相手の仕事。天候をはじめ、害虫対策や温度管理など、決して一筋縄ではいかない。「だからこそ、それらに左右されることなく、コンスタントに安定供給し出荷できる方法を日々模索していかなければならない」と光田さん。今年に入り、新しく高設栽培を導入し、規模を拡大させることにした。「高設の一番の特徴は、立ったままの楽な姿勢で作業ができるため、腰への負担が少ないこと。やっぱり収穫期間が長いため、両親に体の負担はかけられないし、今後は人を雇っていくことも考えているので、高額な設備投資だったが、この設備導入は最重要だと判断した」と、揺るぎない決意を見せる。先々は法人化も視野に入れているという。「いちご農家で法人化はあまり聞かない。だからこそ、先駆けのモデルケースとして、いちご農家全体の活性化の一助になりたい。まずは高設技術を確立し、規模拡大が先決ですけどね」と、熱い想いを語ってくれた。

 

必ず結果を出し、両親に恩返ししたい。

 最後に今後のビジョンを聞いてみた。「まず、自分のプライベートに関しては、雲行きが怪しいところ。早く彼女を作りたいですね。いちごはたくさん食べさせてあげられるので、どなたかいい人いませんかね?(笑)あと、仕事に関しては、やはり両親にはこれまでいろいろと迷惑をかけたかもしれない。だからこそ、必ず結果を出し、恩返ししていきたい。今、いちご農家の青年部など様々な情報を共有できる仲間が居てとても恵まれていると思うし、本当にありがたい。こんな同世代の仲間を見ていると、農業の未来は明るいと断言できる。これからも、いちご農家という職業を全うし、家族仲良く、楽しい日々を過ごしていきたい」

 

母の多美子さんも一緒に、ひとつひとつ想いを込めて行うパック詰め作業。