熊本の農業

世界で一番大きな柑橘類 香り豊かな南の島の贈り物
福田清和さん / 八代市高田地区

2019.01.23

生産者の知られざる思いを届ける人気の探訪企画第5弾。
今回は、熊本が誇る名産“晩白柚”農園を営む生産者さんにお話を伺います。
愛情込めて育てられた、数千の実が生る景色は圧巻。

球磨川からの豊富な水が育む晩白柚の一大産地

  熊本県中部に位置する八代市は、水稲や伝統的なイ草の栽培に加え、トマト、メロンなどの施設園芸が盛んな地域です。また、近年活発化している果樹農園も脚光を浴びており、その中の一つ“晩白柚”の生産に取り組んでいる福田清和さんの農園を訪ねました。
 やってきたのはJAやつしろ八代果実選果場から車を走らせ2分程にある八代市高田地区。住宅街には多くの農園が軒を連ね、さながら“晩白柚ロード”と呼ぶにふさわしい場所に福田さんの農園があります。元々湿田地帯というこの地域は地下水が多く、数カ所ある水源からの湧水は名水百選にも選ばれており、球磨川から取水した農業用水が地区内を縦横に巡り、水の心配をすることなく多くの農園が大きな晩白柚を実らせています。驚いたことに、日本の全生産量の2割をこの地区だけで収穫しているのだとか。


教えてくれたのは、晩白柚農家の福田清和さん(47歳)。JAやつしろ八代市果樹部会 青年部副部長をおつとめです。→

農業系の大学へ進学した後、跡を継ぎ2代目として就農し25年。後継者問題解決のため4年前から青年部を立ち上げ、副部長として次代に農業を伝える活動も続けている。野球やバレーが好きで、子どもの試合には作業そっちのけで観戦に行っていた子煩悩ぶりも。

奥深さがあるから、これからも進化を続けていく

 「自分も将来、農園を継ぐのだろうな。」と、ごく自然な流れで就農したという福田さん。その魅力について「あまり手をかけなくてもそれなりに育つところは強みですね。ただ、そこからきちんと世話することで大きさや色づき、酸味の変化、収穫量として目に見えて変わってくるので、晩白柚はやりがいがあります。」と語る。もちろん苦労もあるようで「4月下旬~5月上旬にかけて行う受粉作業は、10日ほどしか花が咲かず、その間に全ての花へ最低2回は受粉させます。この作業が晩白柚を大きくさせる勝負時なので、一番の山場です。うまく行けば6月にはソフトボール代大くらいの大きさになり、大体の収獲量が分かるので、選定し、袋を被せて保護します。」保護する理由は、雨が降ったとき地面の跳ね返りで病気が付くのを防ぐため。と言うのも、全国で広く栽培されているわけではないので、まだまだ未知の病気もあり、現在もJA生産者と協力し様々な症例を持ち寄りマニュアル化も進めていると教えてくれました。


ハウス内での出張キッチン♪ 摘みたての晩白柚で「晩白柚のサラダ」をご用意。バルサミコ酢・はちみつ・オリーブオイルで作ったドレッシングは上品な仕上がり。

今回の取材窓口になって頂いた、JAやつしろ総合企画課の吉田さんも一緒にテーブルに。お二人からは「大人のサラダって感じですね。」

晩白柚は安定した収入になる

 一大産地として名高い八代でも、後継者問題に直面しているそうです。「やはり近隣の農家さんでもm高齢者の割合が増えてきました。でも、晩白柚は初めての就農者にはとてもおすすめなんです。豊富な水量と山から吹き下ろす風通しの良さで育てやすく、他所の産地にはないここ八代ならではの品種なので、ライバルは圧倒的に少なく、皆が協力しあって晩白柚を守っています。私自身も、約1ヘクタールの農園に約一万個の晩白柚を育てていますが、熊本自身から今年の異常気象があっても、収穫量に大きな差はなく安定した収入にもつながります。」と、真剣な眼差しで語る福田さん。今、就農を目指している人へのアドバイスも聞くと、「通常の柑橘類にはない作業も多いので、意外と梨やりんごの栽培から学ぶことは多かったです。ぜひ試してみてください!」